幼なじみ〜first love〜
チケット売り場がかなり混み合っていて、買うのに10分ぐらいかかった。




ポップコーンとジュースを乗せたトレーを持ち、絢音の元に近づくと、絢音は遠く一点を見つめボーッとしていた。




「…絢音?」




「…へっ?あ、あぁ…ありがと」




意識を取り戻したように、絢音は笑顔でジュースを受け取った。




「どした?まだ眠いのか?」




「ううん…別にっ。何のチケット買ったの?」




「おまえが好きそうな…ラブストーリーの映画」




「えぇー!ちょー嬉しい!早くいこっ」




絢音は、俺の服のすそを掴んで、勢いよく走り出した。




「ちょ…っ、おまえ…ポップコーンこぼれるだろっ」




俺は…心のどこかで




絢音の気持ちを
試しているのかもしれない……




俺の存在が

絢音の中で




どれほどの存在なのか




知りたいと思う自分がいる




“行かないで…”




そう言われたら


俺はどうするんだろう…
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