幼なじみ〜first love〜
絢音―side―
―――8月下旬。
蒼の出発まで…あと残り一週間。
残暑厳しく、気温は30度は越えていると思う。
しかし、この日の空は、どんよりと曇っていた。
「蒼ーっ!早く、はやくーっ!」
興奮するあたしは、後ろを振り向き、蒼を手招きして呼ぶ。
「おまえっ…はしゃぎすぎだっつーの!」
あたしと蒼は、遊園地にやってきた。
家から電車で1時間半ぐらいかかる所にあって、小さい頃にうちの家族と蒼の4人で、何度か来た覚えがある。
蒼と遊園地に来るのは、小さい時以来。
実は、蒼は遊園地が嫌い…。
たぶん…ジェットコースターが苦手なんだと思う。
「蒼っ!ジェットコースター乗ろっ?」
そんな蒼に、わざとあたしは笑顔で言う。
「……しょーがねぇな」
蒼は肩をガクッと下ろし、思いきり溜息をついた。
「うそうそ。ちょっとイジメただけっ。蒼ってジェットコースターとか苦手でしょ?他のにしよっ」
「苦手じゃねぇよっ!」
「ムキになっちゃって…」
「ほら…いくぞ」
蒼が、あたしの腕を引っ張って走り出した。
そんな蒼の後ろ姿を見て、あたしは自然と笑顔になる。