幼なじみ〜first love〜
空は今にも雨が降り出しそうなほど、灰色の雲で覆われていた。




「雨降りそうだし…そろそろ帰るか?」




蒼が立ち止まり、空を見上げる。まだ帰りたくないよ、あたし。




「まだ夕方の6時じゃん…。じゃぁ観覧車、最後に乗ろっ?」




「いいよ」




これが…最後のデートなのに…




まだ…帰りたくない




「絢音?乗るぞ」




「う、うんっ」




係りの人に促されて、観覧車の中に乗り込んだ。




少しずつ、ゆっくりと高い所へ上がっていく。




「晴れてたら…よかったのにね……」




「…あぁ」




あたしと向かい合って座っている蒼は、ずっと観覧車の窓から外を見つめていた。




窓から見える外の景色は…


空も街も


人も……




灰色の世界…――。
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