幼なじみ〜first love〜
美々―side―
絢音が、あたしに気を遣ってくれてなのか、一人になりたいと言うので、あたしはケンの元に向かった。
「…ケーン!」
「なんだよ…美々か」
「愛しの彼女に向かってその態度は何よ?」
「はいはい…愛しの美々様」
ベンチに座ってたケンの隣に、腰を下ろした。
「なんかさ…奈良ってのんびりしてていいね。今までのイヤなこととか…なんか流れていく感じがする…」
空がこんなにも美しいと思ったことはないくらい。
中学の時の修学旅行とは、また違った気持ちだった。
汚れた心が、浄化されていくみたい。
「いいのか?さっきめっちゃシカに追い掛け回されてたヤツほっといて…」
「絢音のこと?…なんか一人になりたいんだってさ…フフッ」
「…なんだよ?」
「怒ってるわりに、案外…絢音のこと気にしてるんだなぁーって思って」
図星だからか、ケンは、プイッとそっぽを向いてしまった。
「ねぇ…ケンがそんなに怒ったってしょーがないじゃん。そろそろ…」
「かわいそうだろーがっ!!」
ケンは、あたしに対して珍しく大声をあげて怒鳴った。