幼なじみ〜first love〜
「蒼が…かわいそうだろ…?」




ケンは怒りを抑えるように、拳をぎゅっと握っていた。




「……ケン」




「蒼と絢音っちの問題だよ…けど、裏切ったのは、絢音っちと遊也だろ?」




ケンは、自分の太ももをグーで殴り続ける。行き場のない怒りを抱えているのはわかってる。




「俺は、美々みたいに大人になれねぇんだよ」




わかってるよ。ケン。

蒼くんのこと考えたら、許せることじゃない。




「別にあたしだって…大人じゃないよ?裏切ったことは、許されないことだと思う…」




「だったら…」




「けどね?…人間そんなに完璧じゃないと思うから…」




誰だって間違える

誰だって嘘をつく




人間は正しいばかりじゃない…




「それでも……俺が蒼の味方になんなきゃ…誰がアイツの味方になるんだよ?ただでさえ、遠くにいるのに…」




「味方とか…そういう問題じゃないでしょ…?」




あたしは、ベンチから勢いよく立ち上がって言った。




「でも…思い出したっ!」




「あ?」




「あたしは、そういう純粋なケンを好きになったんだった」




ケンにニコッと笑いかけた後、あたしはその場を去った。
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