幼なじみ〜first love〜
…………
「…先生、わざわざうちまで来てくれて、ありがとうございました」
母ちゃんを往診してくれた先生を玄関で見送るところだった。
俺は、先生に深くお辞儀をした。
玄関のドアに伸ばしかけた手を先生は止めた。
「蒼くん、お母さんの精神はひどく不安定な状態だ…」
「はい…」
「発作が出ていないことからも、パニック障害は治りつつあるのかもしれない…けれどあの状態は……」
「…精神病ということですか?」
「お父さんと相談して、お母さんを精神病患者として入院させることも考えた方がいい…。家族の負担も大きいだろうからね…」
現実は甘くない、そう言われたような気がした。
「…わかりました」
「蒼くん、君も顔色が良くないようだけど…平気かい…?」
「俺は大丈夫です」
「くれぐれも、無理してはいけないよ。ちゃんとお父さんと相談するんだ」
「…はい」
先生は、俺の頭を撫でた後、帰っていった。
父ちゃんに話せば、きっとすぐにでも母ちゃんを入院させるだろう。
父ちゃんにとって母ちゃんは、わずらわしいだけだからな。
でも母ちゃんは…?
母ちゃんはきっと…酷く嫌がるだろうな…
可哀想だけど母ちゃん…
俺には
金もなくて、治す力もない
まだ何も出来ない子供なんだって思い知らされる。
どうしようもないんだよ…
ごめんな…母ちゃん