幼なじみ〜first love〜
「…っはぁ!空気おいし〜っ♪」




列車を降りると、そこは自然に囲まれた、とても静かな場所だった。




見渡す限り山々に囲まれ、白や黄色の小さな花がたくさん咲いている。




駅の周りには、オシャレなカフェや、レストランが何軒かあるだけで、人も数人しか歩いていない。




「なんか…涼しいね」




ここは標高が高いからか、夏も間近だというのに、あたしたちが住んでいる町より、はるかに涼しく感じた。




「タクシー乗るか」




蒼が手を挙げると、駅の前に停まっていた1台のタクシーのドアが開いた。




「お客さんたち若いねぇ〜旅行かい?」




タクシーの運転手さんは、人の良さそうな中年のおじさんだった。




「まぁ…。あの…ここ何ですけど、わかりますか?」




蒼は別荘の住所が書かれた紙を、運転手さんに見せた。




「…ここから…30分ぐらいかなぁ」




「じゃ、お願いします」




「はいよっ」




運転手さんは笑顔で、タクシーを走らせた。
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