幼なじみ〜first love〜
「あの時、あたし…蒼をひとりにしないって、誓ったのに……」




絢音が俺の腕をギュッと掴む。




「人は…みんな強くなんかないのに…。蒼はいつもあたしを助けてくれたから…だから強い人なんて思っちゃったのかな…」




「………」




「…ごめんね…蒼…。蒼がこんなに弱ってたことに、早く気づいてあげられなかった…」




知らぬ間に、俺の瞳から涙が流れていた…――




「アメリカから突然帰って来たのも…今朝、夢で泣いてたのも…何かあったからだったんだね……」




溢れ出した涙は

止まらなかった……




「今頃気づいてごめんね…?蒼…、何があったの…?」




「…何も…ねぇよ…」




涙が

自分の意思とは裏腹に




止まらない……




「アメリカから帰って来た時、蒼の目…あの時と同じだった。すごく哀しい瞳…」




「…何も…っ…何も…な……」




「蒼…大丈夫だよ…。抱きしめたら、ほら…泣いてる顔見えないから…」




そう言って絢音は、俺を抱きしめてくれた。




「抱きしめるとわかるよ…蒼。いま…蒼、悲しんでる」




心の底では

こうして欲しかったのかもしれない…




俺が一番

安らげる場所……




「無理しないで。あたしに全て…哀しみも何もかも…吐き出して」




強くなりたかった




ずっと

ずっと…




「…絢音……っ…」
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