幼なじみ〜first love〜
ベッドの上で、絢音は俺を抱き締め、泣いていた。




「…蒼は…何も悪くないよ」




「…そうかな…?本心じゃなくても、嫌いだなんて……病気の母ちゃんに言っちゃいけなかった…」




俺が感情的になって




あのタイミングで
涼介さんのことを言ったのも




まちがいだった




「…俺、部屋出る時…“死にたいなら勝手に死ね”って言っちゃたんだ…。最低の息子だよな…嘘でもひでぇよ…」




「…自分を責めちゃったんだよ…。おばさんだってきっと…蒼の本心じゃないって…わかってる…」




「…わかってる…かな…?」




「…うん。だって…蒼のお母さんだもん…」




絢音だって


ツラいはずなのに……




俺の母ちゃんとはいえ


自分の父親の愛人だ




それでも絢音は




俺を守ろうとする




「…蒼は…何も…悪くないよ……」




絢音は、泣いて声を詰まらせながら、俺を強く強く抱き締める。




「…絶対…ぜったい悪くないからっ……!!」




失敗も

弱さも




“大丈夫だよ”と…




だから…俺には


絢音が必要なんだ




俺の全てを


受け止めてくれる




たったひとりの人だから……―――
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