幼なじみ〜first love〜
“桜ヶ丘高校”




今日からあたしたちが通う学校だ。




桜の木が立ち並ぶ高校前の通り沿いの道は、花びらで敷かれたピンク色のじゅうたんみたいだった。




蒼と校門をくぐると、同じ中学出身の子たちも、ちらほら見かける。




そんな中、女の子たちの声が、あたしの耳に入ってきた。




“あの人、ちょーイケメンじゃない？”


“ちょ〜カッコイイ！誰あれ〜”




やっぱり。

他の中学から来た女の子たちが、蒼を見て周りで騒いでいる。




そして上級生たちもが、校舎の窓から蒼を指差して盛り上がっていた。




こんなの慣れっこ。


蒼は、昔からすごくモテる。




幼稚園から現在まで告白された人数は、数知れず。




いや、本当は気になって数えてたけど。




中学の頃には、蒼と同じクラスになった女の子は、一度は蒼のこと好きになるっていう伝説まで出来た。




後輩にはファンクラブまであった。


バレンタインのチョコレートは、段ボール１箱じゃ収まらない。ほとんどあたしが食べたということは、女の子たちは知らない。




そんな蒼と幼なじみなあたし。




隣の家に住んでるというだけで、蒼のそばにいることができた。




あたしは蒼みたいに華やかな人間じゃない。




ごく普通の女の子。



だから余計に思い知らされる。



蒼への想いは、叶わないんじゃないかって。




幼い頃は、一緒にいて遊んで、それで十分だった。




でもあたしたち、もう高校生になったんだよ。




あたしたち、いつまで“幼なじみ”なんだろう…？
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