幼なじみ〜first love〜
“蒼くんを栞のものにする”




短い間に、頭の中でこの言葉は何度繰り返されたのだろうか。




嫌、嫌だ…絶対

蒼が誰かのものになるなんて嫌だよ…




栞ちゃんの顔は、余裕な表情だった。
こんな可愛い子に好きなんて言われたら、誰だって嬉しいに決まってる。




女の子のあたしから見たって、可愛いと憧れるほどの存在だもの。




昨日の蒼は、栞ちゃんに興味なさそうだったけど、本気でこんな可愛い子に告白されたらきっと…




断る理由なんてない。




「……栞ちゃん、ごめん」




自分の胸のあたりをぎゅっと掴んで、栞ちゃんの目を真っ直ぐに見つめた。




嫌だ…やっぱり

どんなに考えたって、嫌なの。



蒼が他の誰かを想うなんて


蒼が誰かの彼氏になるなんて



絶対に嫌だ…




「絢音ちゃん…?」




「あたし…協力はできない…」




今まで、危機感がなかったんだ。




蒼はいつまでも


あたしのそばに
いるわけじゃない




伝えなきゃ

伝わらない




幼なじみから

一生…抜け出せない
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