幼なじみ〜first love〜
もう夏はすぐそこに来ている。空は綺麗な青空が広がり、容赦なく照りつける太陽に目を細める。
着ている洋服がすぐに汗ばむほど、外の気温は蒸し暑い。
あたしと美々ちゃんは、大学内にある広場のベンチに座る。
美々ちゃんの表情は真剣で、やっぱりどこか元気のない様子だった。
「…絢音、あたしね…昨日ケンと別れた」
美々ちゃんの言葉に、自分の耳を疑った。
「えっ…何で…?!別れたって…美々ちゃ…」
そんな急な…ただ驚いて、何て言えばいいかもわからなくて。
「もぉ…ずっと付き合ってんのかよくわかんなかったしさ…スッキリしたかも」
美々ちゃんとケンちゃんが…別れた…
4年も付き合ってたのに…
「…スッキリしたって…そんなの嘘でしょ…?」
そんなはずない
4年の月日を
そんな簡単に忘れるわけない
美々ちゃんきっと無理して笑ってる
2人が別れたなんて
あたしだって嫌だよ
2人だけは
きっと何があっても別れないって思ってた…
「美々ちゃん…何で…?何で笑うの…?」
辛いのに何で無理して笑うの…?
「…絢音だって……そうじゃん……」
あたしも…?
「絢音だって…蒼くんのこと…辛いはずなのに…あたしの前で泣き言ひとつ言わないじゃん…。笑ってるじゃん…」
美々ちゃんの瞳に溢れていた涙が、こぼれ落ちる。
「…ケンちゃんと、何があったの…?」
あたしは、美々ちゃんの震える手をギュッと力強く握り締めた。
「ケンちゃんと…納得するまでちゃんと話したの…?」
「…アイツ…電話…出ないし…」
「ちゃんと話さなきゃ…ダメだよ……」
美々ちゃんに話しているつもりなのに、まるで自分に対して言ってるような気がした。