幼なじみ〜first love〜
1時間半ほど電車に乗り、降りた所は、あたしの知らない町。




人は、そんなにたくさん歩いていないけれど、小さな洋服屋さんや、楽器屋さん、喫茶店がちらほらと並ぶ。




駅前の噴水の所では、ストリートミュージシャンが、ギターを弾きながら、歌っている。




あたしは、近くの交番で、メモを見せた。




「この道をまっすぐ行って、最初の信号右曲がると、坂があるから…上がったあたりの所のアパートだよ」




親切なお巡りさんに丁寧にお辞儀をして、あたしはその場所へと歩き出した。




蒼がいま、

大学生なのか
仕事をしているのか




何をしているのかさえ




あたしは、知らない…




もし蒼が居なくても


待つ…




何時間でも…何日でも……




待つことには

もう慣れたから




蒼に逢えるなら




あたしは

いくらでも待つよ……






太陽は沈みかけて、紺色に染まる東の空にはふたつ星が見えていた……―――。
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