幼なじみ〜first love〜
緩やかな坂を上りきると、左側に公園があり、その真向かいには、二階建ての白いアパートがあった。




「…ここだぁ」




周りにあるアパートに比べて、綺麗なアパート…まだ新築なのかもしれない。




“203”




「2…03……あった……」




ドキンッ…ドキンッ……




急に心臓の音が、大きな音をたてる…




一度、深くゆっくり深呼吸をして早くなる呼吸を整えた。




かすかに震える手でインターホンを押してみる。




ピンポーン……―――


…………




何度かインターホンを押すが、反応はない。




「いない…かぁ……」




あたしは、蒼の部屋の前でうずくまり座った。




「蒼に電話したら…帰れって言われるのかな……」




携帯の画面を見つめながら、あたしはため息をつく。




「待とぉ……今日は…待つって決めたもん……」




……………




………………………





しばらく、その場に座っていると、音が聴こえてきた。




タンタンタン…―――




アパートの階段を足早に上がってくる誰かの足音が聴こえる。




………………




「……絢音…?」




この声……




あたしは、顔を上げた。
< 617 / 1,010 >

この作品をシェア

pagetop