幼なじみ〜first love〜
「…相変わらず、泣き虫だなっ!ほら…」




蒼は、しゃがみこんで泣いているあたしに、手を差し伸べてくれた。




昔と変わらない…蒼だ




「…グスッ…ゥゥ……ありがと…」




蒼の大きな手を握り、あたしは立ち上がった。




「前の公園、行こーぜ」




蒼は、優しい顔で微笑んで言う。




なのに……―――




あたしに差し伸べてくれた手


握っていた手を




蒼は

すぐに離したんだ……―――。




あたしに背を向け、歩き出す蒼…。




どうして離すの…?




離さないでよ…




離された右手で、胸の辺りをぎゅっと掴む。




やっぱり蒼は

もうあたしのこと




何とも思ってないのかな……




「……絢音?どした?」




「………うん」




泣いてるだけじゃ




伝わらない




ちゃんと言わなきゃ……




「……行くぞ」




前を歩く蒼の背中を追いかけた。
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