幼なじみ〜first love〜
ガチャ…――キィ…―――




アパートのドアを開けると、沙羅が思い切り抱きついてきた。




沙羅は、俺の背中に腕を回し、俺をきつく抱き締める。




「ごめんな…遅くなって」




俺は、沙羅の柔らかいショコラブラウン色の髪を、優しく撫でた。




「何も心配いらねぇーよ?」




それでも沙羅は、腕の力を緩めない。




「沙羅…俺はどこにも行かねぇーから、安心しろ」




沙羅……




おまえを

ひとりにするわけないだろ…?




「今日の飯は…ビーフシチューかぁ!」




台所の鍋から、ビーフシチューのいい匂いが漂っていた。




「俺、腹へった。沙羅…食おうぜ?」




俺の言葉に、安心したのか…穏やかな笑顔で返す沙羅。
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