幼なじみ〜first love〜
「はぁ〜うまかった♪沙羅のビーフシチューなら、店出せんじゃねーかって思うよ」




俺の言葉に、沙羅はニッコリと微笑む。




「あっ!今日は俺が洗い物すっからさ。沙羅は、音楽でも聴いてろよ」




小さな白いソファーに、ごろんと横になる沙羅。




コンポからは、クラシック音楽が流れる。




気持ち良さそうに、目をつぶる沙羅を見て、俺は洗い物を始めた。




出逢った頃の沙羅には、夢があった。




沙羅の夢は


歌手になることだった……




歌が大好きで




歩いている時も

勉強している時も




好きな歌を口ずさんだり

鼻歌を歌ったり




沙羅の声は

まるで天使のように




優しい

透き通った声




そんな沙羅の


美しい声も

歌手になる夢も




奪い去ったのは…俺








俺のせいで




沙羅は


声を失った……―――。
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