幼なじみ〜first love〜
そして、高校3年になり、あたしは大学受験のために勉強に専念した。




やることがあるのは、あたしには都合がよかった。




勉強は、頭を使うから、他の余計なことを考えなくていい。




あたしはずっと、成績悪くて、それでも二学期の終わりには、行きたい大学のA判定をもらえた。




『絢音、やればできるじゃ〜んっ♪』




ミミちゃんと同じ大学に行く、それだけを励みに無我夢中で勉強をした。




そして、大学。
第一志望合格。




その年の3月、あたしたちは高校を卒業した。




蒼が帰ってくるはずの、
約束の季節……―――




結局あれから、一度も蒼から連絡はなく……




あたしは、一度だけ…高校を卒業してから、蒼に電話をかけた。




蒼は電話に出なかった。




かけ直してくることもなかった。




蒼から電話があったのは、20才の、今から1ヶ月前…




………


“…好きな女ができたんだ…俺たち……もう終わりにしよ”




こんなにも時間が経っていたことを、あたしはその時初めて実感した。




“迎えに行く”


“連絡する”




蒼の言葉を信じるだけじゃなくて…




もっと

何度も何度も


電話をかければよかった




「あたしがダメだったんだ………」




ザザザーッ…ザーッ……




大きな波の音で、ハッと現実に引き戻された。




「絢音…っ!!…ハァ…ハァ…ッ…」




後ろを振り向くと、息を切らした遊也が砂浜に立っていた…―――。
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