幼なじみ〜first love〜

絢音―side―

―――……


――…立ち並ぶビルの隙間から冷たい北風。

光輝くイルミネーションがぼんやり見える。




どうしてあたしは

泣いてるんだろう……?




もう二度と泣かないって

何度、

心に誓ったんだろう…




パスタ屋を出て、沙羅と別れたあたしは、街の中を歩いていた。




あたしの横を通り過ぎていく、街の人々…

どんどん見えなくなってく……




歩くの速い…速いよ……




それとも…あたしが遅いのかな……




……遅い……もう遅い……




何もかも……




沙羅と会ったのは


不純な動機だった




蒼がどうしてるのか


知りたくて




ホント…バカだよね




あたし…

一体何を期待しているの…?




沙羅の声が治って

もしかしたら…なんて




蒼が戻ってくるかもなんて




そんな淡い期待




最低だ…あたし




沙羅の想いを

蒼と沙羅の仲を




再確認させられただけだった




あたしの入る隙間なんてない……




あたし…どこまでバカなんだろう…




「ごめんね……遊也」




この涙を

遊也の為に流せたら




きっと…幸せになれるのに……
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