幼なじみ〜first love〜
「あっ…2人ともおかえり〜!今ちょうど紅茶入れたとこだよ」
部屋に戻ると、沙羅がティーカップを片手に持ちながら、あたしたちを出迎えた。
「俺、悪いんやけど…先に寝るわぁ」
遊也は沙羅から、コップを受け取り一気に飲み干した。
「なんだよ、遊也…トランプでもやろーぜ?」
ソファーに座る蒼が振り向き言った。
「遊也ね、頭痛いんだって…そっとしておいてあげてよ蒼…」
「大丈夫かよ…遊也…」
「あぁ…大丈夫や。3人で楽しくやってや…」
遊也はベッドの上に横になる。
その後、気まずい気持ちだったけれど、3人でトランプをしたり、テレビを見たり、ゆっくりと穏やかな時間を過ごした。
テレビでは、どのチャンネルをつけてもクリスマス特集ばかり。
蒼はいつのまにかソファーに座ったまま眠ってしまっていた。
「絢音ちゃん、うちらもそろそろ寝よっか…」
沙羅がソファーで眠っている蒼を起こさないように毛布をそっと静かにかけた。
「沙羅は先に寝てて?」
あたしはダウンジャケットを着て、ニット帽を被り、マフラーを巻いた。
「こんな時間に、どこか行くの?」
「すぐ帰ってくるから、心配しないでっ」
「絢音ちゃんっ…?!」
「大丈夫だよ!沙羅は先に寝ててっ」
そう言ってあたしは、部屋を飛び出した。