幼なじみ〜first love〜

蒼―side―

―――……




旅行から帰宅し、アパートで、俺は、ソファーに座りくつろいでいた。




「蒼…今日の夕飯、何作ろっかぁ♪」




台所で沙羅が冷蔵庫の中を覗いている。




「…何でもいいよ。沙羅も休めば?疲れただろ?」




「沙羅は大丈夫。じゃぁ有り合わせで作っちゃうね…」




「ん………」




沙羅に言わなきゃならない




俺は絢音が好きだから




忘れられないから




俺はアイツがいないと

ダメだから




沙羅のそばにいられないと………




「なんか旅行色んなことあったけど、楽しかったよね…」




沙羅が台所で手際よく野菜を切りながら、俺に話しかける。




「皆で楽しくご飯食べたり、温泉入ったり…本当に楽しかった」




「……あぁ」




沙羅が嬉しそうに話すから、俺は軽い返事しかできなかった。




「でも本当に絢音ちゃん…無事でよかった…。二人とも帰って来ないから、すごく心配したんだよ?」




「………ごめん」




「ううん…無事だったからいいの」




沙羅は俺に笑顔を向けた。




「……なぁ…沙羅、話があるんだ」




どうしたって

沙羅を傷つけるんだ



素直に

ありのままの気持ちを



話そう……―――
< 830 / 1,010 >

この作品をシェア

pagetop