幼なじみ〜first love〜
絢音じゃなきゃ…


ダメなんだ………




「なぁ…蒼、俺から絢音に別れを言おう思うんや…」




遊也は、病室の窓から灰色の空を見つめていた。




「遊也……?」




「別れって…言われる方もツラいんやけど……大事に思ってた分、言う方がもっとツラいんや」




別れを言われるより

言う方がツラい…




大事に思ってた分だけ…




「せやから、俺から絢音に言うわ…」




遊也は本当に

絢音を愛してくれてる




遊也とだったら

絢音はきっと

幸せになれたはずだった




ごめんな…俺の我儘で




おまえを手放せなかった




「蒼も覚悟はできてるんやろ…?沙羅に早く言わんと…時間が経てば経つほど、痛みや苦しみは増えるで?2人の思い出とともにや…」




「…わかってる。ありがとな…遊也」




「いずれ絢音にも話さへんとな…絢音の秘密、家族のことも…話さへんとあかんやろ…?」




「…ん……」




逃げてる場合じゃない




俺が選んだ道だから




「今度こそ、絢音を幸せにする覚悟決めろや?」




「遊也…俺、おまえにどれだけのことをすれば、許してもらえる…?」




数えきれないくらいの

裏切りと苦しみを与え




でも

言葉に出来ないほどの


感謝をしてる




遊也…ありがとう




「俺は、絢音を幸せにしてくれて…蒼と絢音が笑って生きていけるなら、許すで」




「遊也……」




俺は、遊也が絶対に絢音を離さないと思っていた。




遊也の顔を見ると、遊也は穏やかな微笑みを見せた。




「俺にはもう…時間がないねん」




―――……

………




心臓の音が聞こえた。

一瞬、世界が止まった…
そんな気さえした。




「時間…が…ない…?」




「神様は………俺にタイムリミットを与えたんや…」
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