幼なじみ〜first love〜
俺は、沙羅の華奢な身体を一層強くキツく抱き締めた。




バスタオルが床に落ちる。




「…急に…何…?どうしたの…?」




俺の体を突き放す沙羅。




「ごめん…沙羅…」




謝ることしかできない




胸が苦しくて

言葉に詰まる




「……絢音ちゃん…?」




「沙羅…っ…ごめ…」




「……何で…?絢音ちゃん…なの…?」




「沙羅……」




沙羅の頬に手を伸ばそうとしたら、手を弾かれた。




「ずっと一緒にいるって言ったじゃない…っ!」




声を荒げた沙羅の目には涙が溢れていた。




「…パパが死んだ時、約束してくれたじゃない…っ!嘘つき…っ…」




沙羅は、俺の胸を両手で叩き続けた。




「沙羅…ごめんな…本当にごめん…」




「謝ったって許さない…!沙羅には蒼しかいないんだよ…?」




沙羅は泣き崩れた。




俺が泣くなんて

ずるいってわかってる




「お願い…っ…沙羅を…捨てないで…」




沙羅の泣き叫ぶ声が、家中に響いた。
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