幼なじみ〜first love〜

沙羅―side―

――…私は、駅の近くの雑居ビルの屋上にいた。




眺めは良く、街中のネオンが輝いて見える。




「……いらない…何も…」




私は呟く。




冷たい風が身体中に突き刺さる。




私は、フェンスを乗り越え、あと一歩踏み出せば、真下に落下する寸前の場所に立っていた。




「…どうして…生きてるんだろう……」




夜空に星は、ひとつも見えなかった。




「……パパ…どこに行っちゃったの…?」




星なんて

見えないのに




探していた




――…バンッ!!




屋上の扉が勢いよく開き、私は振り返る。
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