幼なじみ〜first love〜
「沙羅…俺は、ダメなんだよ…」




ずるいよ


蒼の瞳は




自分だけ傷ついたみたいに




そんな哀しい瞳しないで…




「沙羅を、ちゃんと心から愛してくれる人がいると思うんだ…」




「いないよ…そんな人…どこにもいない…」




「俺は…沙羅を幸せにできない…」




蒼がいれば

それでいいんだよ




沙羅の幸せは


沙羅が生きてるのは



それだけだもの…




「……蒼がいないなら、生きてる意味なんてない…っ!」




沙羅にはもう


何もないんだよ




「蒼のお母さんと同じように…沙羅もいなくなればいいんだよね」




「……いなく…なる…?」




「そうだよ……蒼のお母さんみたいに…沙羅のパパみたいに……沙羅も…消えるの……」




「やめて…くれ……」




蒼が突然、頭を抱えてしゃがみ込んだ。




「…蒼が殺したんじゃない…っ!」




「…やめ…ろ…」




「沙羅のたったひとりの家族を…大好きだったパパを…蒼が……」




「…やめ…て…くれ…」




「蒼のせいで…みんないなくなったんだから…っ」




蒼は、うずくまり涙を流していた。




そう…混乱して



心も頭も


ぐちゃぐちゃになって




蒼……



私…離さないから




「沙羅にはもう…蒼しかいないのに……蒼だけ幸せになるなんて…許さないから…」




「…みんな…いなく…なる……俺の…俺のせいで……」




蒼は沙羅のモノ


絶対に誰にも渡さない




「さよなら…蒼……永遠に……」




私は大きく息を吸い込み、目を閉じた。
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