幼なじみ〜first love〜
目を閉じた



世界は暗闇だよ



沙羅が弱いの…?



人はみんな弱いでしょ…?



教えて…?



この汚れた世界に



どれくらいの価値があるっていうの…?



沙羅が生きるのは



蒼がいるから



生きる世界を輝かす為には、蒼が必要なの。




約束したじゃない



パパがいなくなったあの日から




ずっとそばにいると



沙羅は何の為に生まれたの…?



誰の為に生きるの…?



何の為に生きてくの…?




教えてよ……






右足を前に出そうとした瞬間、ふわっと身体が浮き、目をパチッと開けた。




「沙羅…っ」




後ろから、蒼にぎゅうっときつく抱き締められる。




「離して…蒼」




「……離さない」




「離してよぉ…っ!沙羅はいらないんでしょ…?」




「……いなくならないで」




蒼の声は、震えていた。身体の震えを抑えるように私の身体を抱きしめているのだろうか。




「……いなくならないで……そばにいるから…沙羅のそばに……」




「……蒼」




蒼は泣いていた。私を抱き締める腕も緩む。




「蒼しかいないんだよ…」




私は、蒼の目をまっすぐに見つめた。




「……今度こそ、約束して…」




蒼の頬にそっと触れた。




「…二度と…沙羅から離れないって…約束して…」




……蒼は、静かに頷いた。




蒼は誰にも渡さない




だって蒼の存在は

私の生きる意味




蒼だけ幸せになるなんて


許さない




――…すべては私の計画通りだった。
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