幼なじみ〜first love〜
「幸せって…俺の勝手な考えやけど…」




「………ん」




「自分の愛する人が…心から笑うてることやと思う…」




ねぇ…蒼はもう


笑ってくれない?




そうだよね…蒼の心を壊したのは

笑顔を奪ったのは



私だもん……




蒼の好きな子はあの子だもん……




絢音ちゃんに聞いてみたい




世界でたったひとりの大好きな人に、大好きと言われることがどんなに幸せかって…




「自分の好きなヤツが笑うてへんかったら…自分は幸せになれへんなって思うねん…俺」




「頭ではわかってても、心がついていかない…」




「俺もおまえと同じや…たくさん悩んだし、間違いもしてきた」




私はずっと、私を受け止めてくれるのは、もう…蒼しかいないんだって



ずっとそう…思い込んでいたのかもしれない




「俺は絢音が好きや…同じ想いにはなれへんかったけど、アイツはアイツなりに俺を大切に想うてくれてる」




私は見ようとしてなかった


自分の弱さを



人のせいにして


嘆いて




蒼を鎖で繋いでた




「蒼も俺を大事に思うてくれてる…」




そう言って彼は、私の背中を優しくさすってくれた。




「俺は幸せや…ずっと気づけへんかった」




何かを失うと、何かを得るもんなんだって



彼は言った




「俺もこんなふうにならんかったら…何が幸せかなんて、何も気づけへんかったわ…」




「……遊也くん…?」




「俺は、沙羅にも心から笑って欲しいねん…」




「遊也くん…っ!」




彼は頭を押さえて、呻き声をあげている。痛いのか、苦しいのか…どちらにしてもかなり辛そう。




「大丈夫…?どこが悪いの…?」




「大丈夫や…悪いな」




彼に肩を貸し、ベッドの上に寝かせた。
< 850 / 1,010 >

この作品をシェア

pagetop