幼なじみ〜first love〜
君が

アイツと幸せになること



それが今の



俺の願い……―――。






その夜…俺は、病院を抜け出して、絢音ん家の近くの公園に絢音を呼び出した。




優しい月明かりに照らされて、俺はブランコに座っていた。




「…遊也…っ!」




息を切らして走ってくる、俺の大好きな人。




「遊也…」




俺の目の前で、立ち止まる絢音…。




俺はブランコに座ったまま、絢音を見上げた。




「…元気やった?」




俺が倒れた日から、2週間。絢音には、俺から連絡するまで会わないと言っていた。




疲れたから…少し時間をくれと…




俺は色々、考える時間が欲しかったんや…




「もう…体調は大丈夫なの…?」




絢音には、俺は過労でしばらく入院したことになっている。




「あぁ…大丈夫や。もう、めちゃくちゃ元気やで」




俺が笑顔を見せても、絢音の表情は曇ったままだった。




「なんや…その紙袋…?」




絢音は右手に、コンビニの大きな袋を持っていた。




「遊也から連絡来るのずっと待ってた…」




「絢音…」




「入院するほど遊也は疲れてたのに…あんなふうに倒れるまで…あたし…遊也のそばにいたのに……」




「絢音のせいちゃうで?俺かてそんな弱いと思ってへんかったし…」




「遊也のこと、毎日想ってたよ…」




そう言って、絢音は、俺に紙袋を手渡した。




「……おまえ、アホか」




大きな紙袋の中には、紙パックのイチゴ牛乳が溢れるほど入っていた。




「こんなにイチゴ牛乳買って…どぉすんねん」




「遊也の大好きなモノ…それしか浮かばなかったんだもん」




一瞬、




泣きそうになった
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