幼なじみ〜first love〜
「遊也…あたし、遊也のそばにいたい…」




絢音から返ってきた言葉、俺は予想もしていなかった。




「……そんなこと言わんといて…?」




「遊也…本当に元気になったの…?顔も痩せて…まだ完全じゃないんじゃ…」




「んなこと…ないで…?」




「あたし…遊也にどれだけ救われてきたんだろう…って、数え切れないくらいに、たくさん。遊也がいなかったら、今あたしはここにいないって…そう思うの」




「そんなんは、俺が絢音を好きやから勝手にしてきたことやから、ええんや」




「あたしは遊也に何も返せないの…?ねぇ…遊也…」




絢音の瞳は、涙で溢れていた。




「…絢音、人を好きになるって努力ちゃうねん」




どんなに頑張ったって




好きなモノは好き




嫌いなモノは嫌い




想いは努力じゃない




頭で人を

好きになるわけじゃない




心で人を

好きになるから




“好き”は


“想い”は




努力じゃなくて




気づいたら…そうなってしまうもの




「絢音はずっと…蒼やった。俺のせいで、余計ツラい思いさせてしもた…ほんまごめんな…」




絢音は、泣いていた。




静かに泣いていた。




思えば、君の涙だけが


本当の俺を

気づかせてくれた




高1の時、君と出逢い




忘れかけていた本当の自分




あの頃、



誰もいない

悲しくて



孤独の中で




でもそんな俺のそばで


君は笑ったり


泣いたりしてくれた




そう…本当の自分を


気づかせてくれたのは




君の涙だった




君に恋をするのは


あたりまえだった




君は

真っ暗だった俺の世界に




輝きをくれたのだから
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