幼なじみ〜first love〜
「ねぇ…蒼…これだけはわかって…?」




蒼をそっと抱き寄せ、蒼の背中を優しく撫でた。




「蒼のお母さんも、沙羅のパパも…蒼のせいで死んだんじゃないよ?蒼は…何も悪くない…蒼…もう自分を責めるのはやめて…」




「違う…それは…。俺のせいだ…」




「今までごめんね…蒼の罪の意識を利用したの…。蒼が沙羅から離れないように…。沙羅…最低なんだよ…」




「…最低なのは…俺だよ。俺だって…沙羅を利用してたんだ。…沙羅のそばにいることが、俺の償いだった」




私のそばにいれば


自分の罪を償えると



いつかきっと

蒼をラクにさせてあげる



そう思ってた


だからなおさら



蒼を

手放さなくてもいいって


思っていたの



でも違った



「…蒼、もう自分を責めないで…十分だよ…。これ以上…沙羅のせいで…悲しまないで…」




ずっと心のどこかで


わかってたのかもしれない



あの子が会いに来た


あの日から




いつか来る


サヨナラを



「…迎えに行ってあげて」




運命なんて

信じてなかった




でも…蒼と絢音ちゃんは




やっぱり

特別なのかもしれない




「ある人に言われたの…。幸せって…自分の好きな人が…心から笑ってることだって…。じゃなきゃ…自分も幸せになんかなれないって…」




「……沙羅」




「沙羅のそばにいる蒼は…心から笑ってなかった。ずっと頭ではわかってたのに…蒼を失うのが寂しくて……見て見ぬふりしてたの…」




私は遊也くんに言われた言葉を、思い出していた。




「大切なのは…相手を許すこと…自分を許すこと…。逃げないこと…自分から絶対に……沙羅も少しずつ頑張ってみる…だからね、蒼も……」




遊也くんの想いは

私を一歩前に



進めてくれたよ




「絢音ちゃんを…迎えに行ってあげて……」
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