幼なじみ〜first love〜
蒼……最後に



私の届かぬ願いを


聞いてください……




「もしも…生まれ変わったら…今度は沙羅を…蒼のお嫁さんにしてね……」




「……沙羅」




「……なんてね…何言ってんだろって…感じ…?」




「…そんなことないよ…。こんな俺を愛してくれて、ありがとう…」




「蒼…っ…うん。………じゃあ…もう行って…蒼…」




私の顔が

涙で濡れていても



まだ笑えるうちに



あなたと


サヨナラしたいの




「沙羅……」




「……行って?…蒼…バイバイ……」




もし生まれ変わったなら



また

あなたに出逢いたい



今度はもっと


上手に愛せるように



きっと…大切にするから



ありがとう



何ひとつ始まることのない


恋でも



こんなに

あなたを愛してることに



あなたとサヨナラする

この最後の日に



気づけたから



私はまた歩いてゆける




蒼は、最後に私をキツく抱きしめて去っていった。




――…ガチャ…バタンッ




蒼がアパートを出ていった瞬間に、私は床に泣き崩れた。




今は何も

考えられないかもしれない




寂しくて

苦しくて



いっそのこと消えてしまいたいと



弱い私がどこかにいる



でも…信じてる



いつかこの悲しみも

涙も



思い出になる



人は忘れてゆく

生きモノだから




どんなに悲しくても


どんなに苦しくても




今はひとりでも




大丈夫だから




いつか絶対

笑うようになる




幸せになる為に




また幸せを探す為に




ありのままの

この気持ちを抱えたまま



また立ち止まっても



生きてゆこう
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