幼なじみ〜first love〜
最後に、うずくまり、泣きじゃくっている絢音の前に立った。




「ほんま…泣き虫やなぁ…絢音」




俺は、しゃがんで絢音の頭をそっと撫でる。




「…だって……」




「絢音…ちゃんと蒼に幸せにしてもらうんやで…?約束や…」




俺は指切りしようと、小指を差し出した。




「……遊也ぁ…」




「好きやった…すごく…大好きやった…おまえのこと」




好きで、好きで

どうしていいか、わかんないくらいやった




好きでも何でもちゃう女を抱いて



恋なんか、愛なんか



よくわからへんかった



絢音と出逢うまでは




初めてこんな気持ちに

させてくれた人



でも絢音には

すでにおったんや



誰よりも愛する人が



運命の相手がおったから




最初から最後まで


叶わへん恋やと



出逢った頃すでに


気ぃついてたんかもしれへん




この片思いは


俺の最高の“初恋”




「ありがとぉ…遊也。あたしなんかを…好きになってくれて…」




「絢音と出逢えてよかったで……」




もしも絢音と

出逢わなかったら



こんなに誰かを

好きになることも



こんなに誰かの幸せを

願うこともなかった




絢音を好きになって


俺は強くなれたんや




人の優しさに気づけるようになったんや



絢音という存在は


俺に生きる喜びを教えてくれた



「ありがとう…絢音のくれたもの…忘れへんから…ずっと…」




キミがくれた大切なモノ




そう…それは


俺の生きた証やから
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