幼なじみ〜first love〜

俺に家族はいない




もう…いない




俺には仲間がいる




大切にしたい仲間がいる




だからいいんや




なのに




なのになぜ




あんなヤツ忘れたはずやったのに




いまになって




涙が出るなんて




ずっと憎んできたのに




このわけわからん感情をどうにか消したい





俺はいつの間に眠りについていたらしい。




目を開けると、俺のベッドに頬杖をついて微笑む男の子がいた。




「こんにちわっ」




満面の笑顔で元気よく挨拶をする声に、一瞬で目が覚めた。




「確か…隆太郎くんやったっけ…?」




「うんっ!」




複雑な気持ちだけれど、この子は何も知らないのだから仕方がない。




「どして、ここにおるんや?」




「おにいちゃん…ヘンなしゃべり方だね?」




「あ?あぁ…」




「おにいちゃん…おなまえなんていうの?」




「遊也や…よろしくな」




「ゆーやおにいちゃんは、なんで入院してるのぉ?」




「……んー何でやろな?隆太郎は?」




「ボクはねぇ、ぜんそくっていうびょーき。入院ばかりなんだぁ…」




「そーか、でもきっとよくなるから、諦めたらあかんよ?」




「みんなそういうけど…」




「…何かして遊ぶか?」




「うんっ!!」




隆太郎に笑顔が戻る。




俺は、隆太郎の手を握り、病院内の庭へと向かった。
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