幼なじみ〜first love〜
「…蒼…苦労させて、本当にすまなかった……何もしてやれなかった…。全て私のせいで…蒼の人生まで狂わせてしまった。」
パパは背を向けたまま、震える声を噛みしめる様に、一言ひとこと、ゆっくりと発した。
「俺はもう…誰かを責めるつもりもない。ただ、絢音を誰より愛してます。諦めたくない!だから…認めてほしいだけなんです。お願いします…涼介さん」
蒼……あたしも
あたしもね、同じだよ
「わかってくれ…私が許されることは一生ない。蒼と絢音の関係を認めてしまったら…どうなる?おまえたちはきっと、私が自分のことしか考えてないと思うだろうが…」
パパ……
パパはあたしと蒼が結ばれないことが
今できる唯一の償いだって
そう思ってるんだね
「そんなこと…ないよ……パパ……」
あたしと蒼が結ばれたら
ママはきっと永遠に悲しみから抜け出せない
死んだ蒼のお母さんも…蒼のお父さんも……ずっとパパを憎んで、あたしたちは祝福されない
そしてあたしも蒼も
この事実をずっと受け止めて生きていかなくてはいけない
パパは息子である蒼と、あたしにそんな思いを抱えたまま生きていって欲しくないんだよね?
あたしたちが結ばれることは
パパが一生、自分の罪を背負い、パパ自身を許すことが出来なくなるということでもあるから
「絢音…すまない……私は、これからも絢音の父親でいたいんだ……だから、おまえたちを認められない……何度頼まれても…すまない……」
パパは静かに泣いてた
声を押し殺して泣いてた
肩が震えてるパパの背中が弱々しく見えた