幼なじみ〜first love〜

絢音はずっと弱かった




心も何もかも




すぐに泣くし




俺がいなきゃダメだと思ってた




けどいつの間にか




いま俺の前にいる絢音は




強くなってたんだ




涙ひとつ見せない




もう…決めたんだな




「いまのあたしたちは、二人とも無理してる。余裕がなさすぎる…」




「わかってる…わかってるよ…」




「どちらかが無理してるとか、犠牲になる愛なんて、続かない…」




「絢音…俺は一度もそんなふうに犠牲だとか思ったことはないよ」




ただ…今の生活で




自分の将来のことを考える余裕はなかった




絢音が言いたいことも


本当はわかってた




「あたしは運命を信じてみたい……何より、蒼を、そして…あたし自身を信じる……」




俺は自分のガキくささに




あきれていた




欲しいモノを


大切なモノを




手放したくないと




ただ喚いている




自分のわがままだけで




俺はただの……―――




「……あたしたち大人になろうよ」




俺はただの子供だ
< 930 / 1,010 >

この作品をシェア

pagetop