幼なじみ〜first love〜
絢音―side―
――……ねぇ、蒼。
元気にしていますか…?
あたしは、元気です。
今日もこの青い空の下で……―――
「絢音先生…!おはよー」
歩いているあたしを追い越して一人の男子生徒が走っていく。
「おはよー!ちょっ…拓真ーっ宿題やってきたー?!」
「忘れたぁーーっ」
「こらぁーー!」
拓真(たくま)は、うちのクラスの生徒で、クラスのムードメーカー。
元気な所はいいんだけど、勉強が嫌い。
「まぁまぁ、絢音先生、落ち着いて?拓真には私から言っておきます」
拓真を走って追いかけようとしたあたしの腕をギュッと掴み、ニコッと笑うのは、うちのクラスの学級委員長でしっかり者の愛空(あいく)。
「愛空…本当にいつも大人ね」
「ふふっ♪でも私好きですよ?絢音先生みたいな子供っぽくて、無邪気な人」
「愛空…それ褒めてる?」
「はいっ!もちろん。…先生、先に行きますね!」
「あっ…ちょ先生も…」
愛空の後を追いかけたら、右足のパンプスのヒールが石に突っかかり、そのまま地面に転んでしまった。
「……イタタっ…もう…」
「大丈夫ですか?絢音先生!」
そばを通り過ぎたシルバーの軽自動車が前で止まった。
車の窓から顔を出して笑っている同僚の男性教師、佐伯先生(さえきせんせい)。
「佐伯先生ったら…笑うのか心配するのか、どっちかにしてください!」
「絢音先生の元気は…子供たち以上ですね」
「佐伯先生っ!!」
「あはは…ごめん、ごめん。小学校まで、僕の車乗っていきますか?」
「…お願いします」
「絢音先生、僕たち生徒の間で噂になっているようですよ?」
「えっ…なんて?」
「僕たちが、そろそろ結婚するんじゃないかってね!」
ねぇ…蒼
あたしは、小学校の先生になりました。