幼なじみ〜first love〜
―――…ピリリリリ
ワイシャツのポケットの中の携帯が鳴った。
手に持っていたタバコを口に加え、携帯のボタンを押す。
「もしもし?」
“もしもーし!お疲れぇ〜仕事中でしょ?電話平気?”
「平気だよ」
“今日うちに寄れる?”
「今日は残業しないで、定時で帰るから。会社から直接向かうよ」
“本当に?じゃぁ…待ってるね。あ、蒼くん…悪いんだけどうちに来る途中に駅前のドーナツ買ってきて?”
「…うん…わかった。じゃ…」
俺は携帯を握りしめて、空を見上げた。
タバコの煙を深く吸い込む。
絢音……
おまえはこの6年どんなふうに過ごしてた?
俺は本当にいろんなことがあったよ
20才のあの日、さよならをした日から
その後も何度か俺は絢音に連絡をしたけれど、教師になったというメールが絢音から返ってきたのが唯一のメールで、しかもそれが最後の連絡で
俺はおまえが考えてること、その時にやっとわかったんだ。
それぞれの道を歩んでいくってことに。おまえは俺のいない世界で、ひとりで立っていけるようになりたかったんだろ?
いまの俺をみたら、おまえは何ていうんだろう…?
“ねぇ、幸せ…?”
“蒼、いま幸せ…?”
そう言いそうだな。
だから俺、
幸せになろうと思うんだ…―――