幼なじみ〜first love〜
俺は電車の時間に間に合うように、少し足早になる。
―――カンカンカン…
数十メートル先の、踏切が閉まる音が聞こえる。
目を疑った。閉まり始めている踏切の線路の上に、間違いなく人が立っている。
女の人だ…動く気配はない。電車に轢かれ、死のうとしてることは、すぐにわかった。
「おいっ…危ないっ…!」
鞄を地面に落とし、必死に踏切まで走り続けた。
女の人の顔が電車のライトに照らされ、俺は驚く。
線路の上に立っているのは、間違いなく湯川さんだ。
「湯川さん…っ!早く!危ないだろ…っ」
俺は走りながら叫んだ。
「水嶋さん…!来ないで…っ」
俺に気付き、湯川さんも驚きを隠せないようだ。
「何してんだよ…っ!早く…電車が…」
踏切まで後、数メートル。
「…私が死んだって悲しむ人なんかいません…生きてる意味なんかないんだから…!」
「何言ってんだよ、バカ!さっき話して、わかってくれたんじゃなかったのかよ…?!」
「もう…ラクになりたいんです……生きていてもツラいことばかりなんです…!だから来ないで…!」
俺は息を切らしながら踏切の前に立った。