幼なじみ〜first love〜
俺は踏切をくぐり、湯川さんの腕を掴んだ。
「離してください…っ!」
「俺の言葉は、何にも届かなかったんだな…」
「ほっといてよ…!」
「逃げんなっ!」
「死のうが何しようが、私の勝手でしょ!」
湯川さんは、俺の手を解こうと必死にもがく。
「俺の友達は死んだ!もっと生きたかったはずなのに、余命を宣告されて…でも人を助けて死んでった…!」
電車が近づいてくる…ライトがだんだん眩しくなってくる。
「明日を生きたくても、生きれないやつだっている…!」
君がいらないと言う明日を
遊也や智也は
どれだけ欲しかっただろうか
当たり前に用意されてると信じていた未来を
失う淋しさや
行き場のない悲しさ
なのに君は
明日なんかいらないという
「綺麗ごとなんか聞きたくありませんから…!苦しいんです!死にたいんです…もうラクになりたいんです…っ!」
湯川さんの言葉は
母ちゃんの死を思い出させた
なぁ…母ちゃんも
そんなふうに思ったのか?
苦しみから解き放たれたいって…
「死んだ後なんて、誰も知らないだろ?死んだらラクだって誰が言ったんだよ…!」
残された人間が
どれほど悲しいか
知らないだろ…母ちゃん
「私のことは、ほっておいて!彼女と幸せになって…っ」
いらない命なんて
この世にない
――…プァァァ…!!
電車のクラクションが鳴り響く。
俺たちは光に包まれた。
――もう、ダメだ
頭によぎった。