―愛彩―
家を出るのは和人様も同じ事でした。

『落ちぶれた名家の息子』

和人様には何の罪もありません。
でも、心ない人たちは、そう言って後ろ指を指していました。


――けれども私は、何があっても、和人様についていくのだと心に決めておりました。

私の頭の中には、かつての由里様の言葉がありました。


『貴女にも、いずれ一生を共にする男性が現れます』


由里様・・・。

私にとってそれは和人様です・・・。


私は15年間お世話になった、篠宮様のお屋敷を後にしました。
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