―愛彩―
再会。
長谷川さんがこの世を去り、会社『長谷川』の二代目社長となった和人様は、更に事業を拡大されていきました。
日本は戦後を抜け出して、高い成長率を誇っていた頃。
そんな風にも押されて、『長谷川』は優良企業として世間に認知されるに至ったのです。
和人様は父親である篠宮の旦那様を、ゆうに超えておられました。
私は、長谷川さんの家を守りながら、会社では社員の皆さんの『相談役』として身を置いておりました。
役職を付けてもらう事もなく、ただの古株の社員として。
和人様の目の行き届かないところを、私が代わりになって目を配る。
そんな立場にありました。
大企業の社長である和人様には、縁談がひきもきらずに押し寄せていたのですが、和人様はどれにも色よい返事はなさいませんでした。
40歳の声を聞いても、和人様は独り身でした。
「和人さんは、理想が高すぎるのではないのですか?」
私は何度か、和人様にお尋ね申し上げました。
「私には家庭を築く余裕などないよ。」
その答えはいつも同じでした。
「和人さんなら大丈夫ですよ。」
私がそう言うと、
日本は戦後を抜け出して、高い成長率を誇っていた頃。
そんな風にも押されて、『長谷川』は優良企業として世間に認知されるに至ったのです。
和人様は父親である篠宮の旦那様を、ゆうに超えておられました。
私は、長谷川さんの家を守りながら、会社では社員の皆さんの『相談役』として身を置いておりました。
役職を付けてもらう事もなく、ただの古株の社員として。
和人様の目の行き届かないところを、私が代わりになって目を配る。
そんな立場にありました。
大企業の社長である和人様には、縁談がひきもきらずに押し寄せていたのですが、和人様はどれにも色よい返事はなさいませんでした。
40歳の声を聞いても、和人様は独り身でした。
「和人さんは、理想が高すぎるのではないのですか?」
私は何度か、和人様にお尋ね申し上げました。
「私には家庭を築く余裕などないよ。」
その答えはいつも同じでした。
「和人さんなら大丈夫ですよ。」
私がそう言うと、