―愛彩―
「高沢みちるさんも、こちらにいると聞いたんです。」

「なぜ私のことを?」

疑問でした。
和人様を訪ねれば良いのにと。

「写真の裏に、何人かの名前が書いてあったんです。」

そう言うと彼女は再び写真を取り出し、裏にして私に見せてくれたのです。

「『みちるさん』って書き込まれてるんです。」

そこには当時、篠宮のお屋敷で働いていた数人の名前が書き込まれてありました。

一緒に写っている方たちの名前でした。

青いインクの、走り書きのようでもありました。

「みちるさんに、和人さん。多分間違いないと思って、こちらに来させていただきました。」

彼女は安堵の笑みを浮かべていました。

いろいろな糸をたぐって、ここまでたどり着いて来られたのだろうと、私は彼女の胸の内を思んばかりました。

「和人さんに伝えておきます。」

続けて彼女に言いました。

「後日、時間を取っていただけるように、私からもお願いしてみます。」

すると彼女の表情はみるみるうちに、ほころんでいったのです。

「ありがとうございます!よろしくお願いします!」

彼女は深々と頭を下げていました。
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