―愛彩―
ある日、私は思い切って和人様に進言しました。


「もう少し、優花さんと距離を置かれてみてはいかがですか?」

「距離?」

和人様は夕食後、リビングでくつろいでおられました。

「優花さんも大人の女性です。与えることばかりが良い事とは限りません。」

私の言葉に、和人様はしばらく黙っておられました。

「和人さんは優しい方です。頼りすぎてしまいます。もしも、この先もずっと・・・。」

優花さんが、和人様のそばを離れずにいたら・・・。

私はその言葉を飲み込んでいました。

「みちるさんには、そう見えるか?」

和人様はくつろいだ姿勢のまま、私に言いました。

「私が、優花さんに与えてばかりの、愛人でもかこっているかのような事をしていると。」

和人様の言葉を聞き、私は思わず語気を強くして返しました。

「そういうつもりで申し上げたわけではありません。」

誤解されたくない。

瞬間に、私は進言した事を後悔していました。

和人様はおっしゃいました。
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