―愛彩―
―――結婚式の日。


披露宴の席で、私は和人様の隣に座っていました。

同じテーブルには、優花さんの養父母・須崎家のご両親も座っておられました。

近くの席には、優花さんのいとこやご親戚の方々が座っておられました。

私はそんな方たちに囲まれながら、晴れ晴れとした、佳き日を迎えていました。

ウエディングドレス姿の優花さんは、とても輝いておられました。

幸せが溢れ出さんばかりの笑顔。

ご友人方にも祝福を受けて、新しい門出はとても華やかなものとなっておりました。



「優花は幸せなのだろうな。」

和人様が、ポツリと呟きました。

「もちろんですよ。」

私は和人様に申し上げました。

「そうだな・・・。」

それから和人様は、しみじみとおっしゃったのです。

「自分で選んだ相手だからな・・・。」

和人様の目には、優花さんが映っておられました。

優花さんと、その後ろには由里様が映っていたと思うのです。

由里様とは違い、優花さんは生涯の伴侶を、ご自分で選ばれた。

『幸せになって欲しい』

和人様の「叫び」にも似た切なる願いが、私の胸にも届いてくるようでございました。
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