―愛彩―

――和人様は天寿を全うされた。

ご病気で他界なされたとは言っても、最後までしっかりとしておられた。

七十余年の最期に、和人様は何を思われたのだろう。

ご自分の歩いてきた道を。

死ぬ時になって、初めて見えてくる物があるというけれど・・・。


「私にはまだ、計りかねるようでございます。」


祭壇に飾られた和人様の遺影を見つめながら、私は呟いておりました。
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