―愛彩―
和人様は、由里様にだけは本音を見せていらっしゃいました。

「姉様は家を出てしまわれるのですか?」

「まだ先の話。婚約が決まっただけで。」

「じゃあ、まだここに?」

「そうよ。まだまだ先の話。父様も気が早過ぎるのよ。」

由里様は困ったように微笑んでおられました。

和人様は心から安堵なさったに違いありません。

和人様の由里様を想う気持ちは、恋心・・・。

私はそう感じていたのです。
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