お馬鹿恋愛



「…帰ったって言っても、実際に見た訳じゃないからまだ学校にいるかもね。探してきたら?」


「…えっ」


「後悔…しないようにね?」



そう言ってにやっと笑う。


なんでこいつは気づいたんだろう……?

今はそんなことどうでもいいか。



「……ありがとう…ございます。」


初めて敬語を使ったような、そんな気がした。


お礼を告げた瞬間、俺は走り出した。



玲奈を探しに…





「…ふふっ。青春ね~」



そんなことを呟いた事など俺は知らない。



靴があるからまだ学校にいるはずだ。



図書室、昇降口、各教室。



走り回ってもどこにもいない。



「…どこっ…いんだよっ…」



そんな時、ふと思い出した玲奈との出会い。



……もしかして


俺は屋上に向かって走り出した。




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