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この状況と雰囲気、もしかして…
「…先生、告白されたの?」
「あー…、うん」
片手で髪をくしゃっとしながら気まずそうに答える先生。
やっぱり告白だったんだ…。
さっきの状況で、斎藤さんはフラれたことが分かる。
…正直、ホッとした。
「先生、モテモテだね~」
気まずい空気を変えようと、明るい声で言うあたし。
「バカ。相手は生徒だぞ。教師の俺にはどうすることもできねーよ」
ズキン…。
先生の言葉があたしの心に深く突き刺さった。
先生…。
相手が“生徒”じゃダメ?
“教師”と“生徒”だからダメ?
…どんなに好きでも“生徒”のあたしは受け入れてもらえないの?
「小林?どうした?体調悪いのか?」
急に黙ったあたしを心配するように見る先生。
「…大丈夫です!ごめん、先生。今日用事があるの忘れてた。今日は帰るね!」
あたしは今にも流れそうな涙をこらえて、なるべく明るい声で言った。
「…あぁ、そうか。気をつけて帰れよ」
「はぁ~い」