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準備室を出た瞬間、涙がぶわっと溢れた。
止めようと思っても、涙はあたしの意思とは反対にどんどん流れる。
先生…。
“教師”と“生徒”の壁って、そんなに厚いのかな…。
こんなに好きなのに…。
「教師を好きになるって、そんなにいけないことなのかなぁ…?」
夜。
あたしは家に帰って、ベッドにうつ伏せになりながら百合に電話した。
「人を好きになるのにいけないもクソもない!教師と生徒の前に男と女なんだから」
…クソって。
「好きならいいじゃん。相手が教師でも」
「…でも先生、生徒を完全に恋愛対象外に見てるし」
「だったら対象内に見てもらえるようにすればいいでしょ!」
…そんな無茶苦茶な。
「…あおい、がんばりなよ。そんな簡単に諦められる気持ちじゃないんでしょ?」
百合…。
…百合は、あたしのこと何でもわかってるね。