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「まったく…」と言いながらタバコを灰皿に潰し、また車を走らせる先生。


「…先生、デコピン強すぎだよ~…。まだ痛いし…」

まだ少しズキズキする額を手でおさえながら言った。


「そんなに強かったか?」


先生は右手だけで運転しながらあたしをチラッと見て、左手であたしの前髪を上にあげた。


「あー…、ちょっと赤くなってるな。悪い」


そう言って、前を向いて運転しながらあたしの額を雑に撫でた。



きゃ~~~!

あたし今、絶対に顔真っ赤だよ…。



「…あ。あの青い屋根の家です」


「ん?…あー、分かった。あそこね」



もう着いちゃった…。

もっと家が遠かったらよかったのに…。



「はい、到着。テスト勉強がんばれよ」


「…うん。先生、プリントほんとにありがとう。追試のときの52点よりとれるようにがんばるね!」

「おー。じゃあ、今度は60点目指してがんばれ」


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